日本の宇宙への挑戦は近年、失敗続きです。下記の記事によりますと…
(Newsweek:日本が月面着陸に初成功、世界で5カ国目の快挙も「60点」評価のワケ…太陽電池が機能しないことによるミッションへの影響とは?)https://news.yahoo.co.jp/articles/ecf7226d3477a640251240e66eb5b99aa3594a40
- 小型固体燃料ロケット「イプシロン」6号機の打ち上げ失敗(22年10月)
- 超小型月探査機「OMOTENASHI」が通信途絶で月着陸を断念(同年11月)
- H3ロケット初号機の打ち上げ失敗(23年3月)
- 民間企業アイスペースの探査機の月面激突(同年4月)
- 小型固体燃料ロケット「イプシロンS」が開発中の燃焼試験で爆発事故(同年7月)
そんな中で注目された、小型月着陸実証機「SLIM」の月面着陸が約1週間前の、1月20日に実施されました。結果はどうだったのでしょう??
○小型月着陸実証機「SLIM」の月面着陸
https://news.yahoo.co.jp/articles/c10397f1bbc11dfa5fc582f64a7a91a099790b02
- 小型月着陸実証機「SLIM」の月面着陸に成功
- 日本初の快挙で、世界でも5カ国目の快挙
- ただし太陽電池が発電していない
SLIMくんが月に降り立ったことは確認できましたが(成功)、なぜか太陽電池パネルでの発電ができない(失敗)。パネルが故障した可能性も考えられますが、SLIMくんの姿勢情報などは地球へ正しく送られているので、おそらくは太陽光がパネルに当たっていないのだろうと考えられました。この場合は内蔵バッテリーのみなので、月面での稼働時間はたったの数時間。その後はバッテリーを切らざるを得なかったようです。
○月面探査機「SLIM」から月面データ取得完了 太陽電池が西を向いていることが判明 復旧の可能性も
https://news.yahoo.co.jp/articles/91379b69444b3d48ad70e2938994e76ab8bcaf3a
はてさて、今回の月着陸プロジェクトは成功だったのか? 失敗だったのか?
着陸から1週間・・・どうやら80点以上の成功であったようです!!
まずは着陸したSLIMくんの写真がこちら。
NHKのWebサイトより。
(月面探査機 JAXA 世界初の「ピンポイント着陸」に成功と発表)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240125/k10014333951000.html
こちらは、SLIMくんの着陸前に分離した小型ロボットLEV-2が撮影したものです。画面真ん中の灰色の横線は、月から地球への画像伝送時のノイズです。SLIMくんが、無事に月に降り立ってます!
今回のミッションの目標は、大きく5つあったそうです。
○「転ぶ前に倒れ込め」世界初のピンポイント月着陸狙うSLIM、5つの常識破り
https://www.mitsubishielectric.co.jp/me/dspace/column/c2308_2.html
- これが月着陸機?脚はどこ?(小さな機体で月着陸)
- 腹ばいで斜面に倒れ込む「二段階着陸方式」
- クレーターの地図と賢い頭脳で「ピンポイント着陸」
- 全開アクセルと急ブレーキの豪快運転
- 月着陸直前に放出される2つのロボット
これらのうち(後述しますが)2を除いて、4項目に成功したと言えます。これによって、小型の探査機でも月探査ができることが実証されました。今後、国産技術でのの月探査にはずみがつきますね!
ただし大きな問題もあります。今回は下記に示すような感じで月に降り立つ予定でした。
○高精度着陸と軽量探査機
https://www.isas.jaxa.jp/home/slim/SLIM/technology/index.html
ドドッと倒れ込むように着地する予定だったのです。細長い足はなく、探査機本体に取り付けられた丸い「クッション」を使って、まず上記(3)のように「ドン」、次に上記(4)~(5)のように「ドドン」と降り立つ予定でした。ところが実際には、、、
こんな風に「頭が下になる」格好で着地。勢い余ったか、バランスを崩した感じですね。
運悪く、着陸時の太陽の方向が、太陽電池パネルと反対向きだったので、発電ができなかったようです(いやまて、こんな格好でも月に降り立てたので、運は良い?)。
その原因は、着陸の少し前にメインエンジンが大きく壊れてしまったためのようです。メインエンジン(逆噴射しながら月面に降りるために必要)は2つありますが、その片方のノズルが月表面に落下していく様子がSLIMくんのカメラに収められてます。また実際に、メインエンジンが片方しか動かなかったことも、SLIMくん自身が地球に報告(送信)しています。
他の天体への着陸は困難なミッションなので、いろいろ起きると思います(例:はやぶさ)。今後、メインエンジンのトラブルの原因も解明が進むと思いますが、「なにがあっても、ちゃぁぁぁんと着陸」するメカニズムが必要です。その点では今回の「ドドッ」と着陸する2段階方式はリスクが高すぎたと言えますし、大失敗です。
やはり往年の、逆噴射をしながら長い4本足とか3本足で確実に着陸するか、エアバック方式が良いのでしょうね(パラシュートはダメ。月には空気はありません)
休憩:
月に着陸した探査機って、案外少ないんですね!! 成功率は40%とのこと。
(https://www.asahi.com/articles/ASS1L7F2ZS1JPLBJ002.html)
これ以外に月の裏側に「嫦娥4号」が着陸していますね。
最後に、今後の話。SLIMくんは残念ながらコケて着陸してしまったので、太陽電池パネルに日光があたっていません。ただ幸いなことにひっくり返ってはいないので、月が公転していけば、いずれ日があたります。実はもう当たり始めているようです(1/28現在)。
他方で、以下の記事によれば、大気のない月面上には強い太陽光や放射線が降り注いでいて、電子回路の活動の限度は数日間だそうです。
○ピンポイント着陸も成功確実なスリム なぜ60点なのか JAXA幹部が辛口採点
https://www.sankei.com/article/20240120-7ADTERLD2NMSHERYQBT4DYSWOM/
うーーむ、もう動かないかもしれないし、動くかもしれない。
とはいえ、日本初の月面着陸には成功したということで、まずは喜びましょう!!
そしてこの3月に予定されている、H3ロケットの打ち上げなどがうまくいくことも期待しましょう!!
※追記:本日午後に、SLIMくんとの通信が回復したみたいですね!
着陸で姿勢が崩れていますが、「月面調査をがんばるぞい!」ってかんじですね。
探査機SLIMくんは、この記事を公開した日に復活したみたいですね!!
○SLIM(スリム)復活 JAXA太陽電池の発電確認 月探査機“起源探る調査”再開
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20240129a.html