名古屋で打ち合わせ

先日、名古屋に日帰りで行って参りました。

こちらは名古屋駅。地下鉄東山線のホームです。コロナ禍で、名古屋大学に来るのは久しぶり。地下鉄の路線図をすっかり忘れてしまっていました。3年間ほど、名古屋市内に住んだのに。

今回は、海底観測データを学生に渡しに行きます。Kさんは、以前はうちの研究室に居て、いまは名古屋大学の大学院生として頑張っています。あと、別件ではありますがW先生にもお会いできればと。突然降って湧いた、地震探査データの処理の相談です。

…で、名古屋大学に着きました。昔は「本山駅」から歩かなあかんかったけど、いまは地下鉄ですぐ行けて、べんり~

ちなみに。名古屋の地下鉄のマークは、、、

ですが、こちらは、、、

名古屋市のマーク(八)を模したものです。写真は歩道の地下溝のフタ。
地下鉄のマーク、うまいなーーと見るたびに思います。ハチーーー!!


そして無事、名古屋大学に着きました。いい天気!

ちなみに略称はメイダイ(名大)。中京圏ではメイダイは明治大学ではありません。
名古屋駅はメイエキ(名駅)。名古屋城はメイジョウ(名城)。
メイメイメイ、メェメェメェ。

打ち合わせは午後を目一杯使って、無事終了。2003年ごろに取得した海底データが再び?三度?日の目を浴びます。すばらしい!! 解析結果を楽しみにしております。
またW先生にもお会いして(なんと、卒論発表会のお昼休みの短い時間を頂いて!)、こちらも2005年頃の海底調査の話についてご相談させていただきました。
お忙しいにも関わらず、ご助力くださるとのこと!!
ありがとうございます。

そんなこんなで、やはり、研究は「オンラインより対面」です。
いや、突然押しかけておきながら、こういうのはよろしく御座いません。でも、やはりオンラインより、対面です。こちらの事情と熱意と無理難題をご理解くださいまして感謝感激です!!


おまけ:

名古屋の名物グルメもいただきました。こちらは、あんかけパスタです。

あと、古屋市営地下鉄だけではないですが、地下鉄のマークって、、、

逆さにすると、何かのキャラに見えますよね(逆さにして加筆してみた)。

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月面着陸は成功?失敗?

日本の宇宙への挑戦は近年、失敗続きです。下記の記事によりますと…

(Newsweek:日本が月面着陸に初成功、世界で5カ国目の快挙も「60点」評価のワケ…太陽電池が機能しないことによるミッションへの影響とは?)https://news.yahoo.co.jp/articles/ecf7226d3477a640251240e66eb5b99aa3594a40

  • 小型固体燃料ロケット「イプシロン」6号機の打ち上げ失敗(22年10月)
  • 超小型月探査機「OMOTENASHI」が通信途絶で月着陸を断念(同年11月)
  • H3ロケット初号機の打ち上げ失敗(23年3月)
  • 民間企業アイスペースの探査機の月面激突(同年4月)
  • 小型固体燃料ロケット「イプシロンS」が開発中の燃焼試験で爆発事故(同年7月)

そんな中で注目された、小型月着陸実証機「SLIM」の月面着陸が約1週間前の、1月20日に実施されました。結果はどうだったのでしょう??

○小型月着陸実証機「SLIM」の月面着陸
 https://news.yahoo.co.jp/articles/c10397f1bbc11dfa5fc582f64a7a91a099790b02

  • 小型月着陸実証機「SLIM」の月面着陸に成功
  • 日本初の快挙で、世界でも5カ国目の快挙
  • ただし太陽電池が発電していない

SLIMくんが月に降り立ったことは確認できましたが(成功)、なぜか太陽電池パネルでの発電ができない(失敗)。パネルが故障した可能性も考えられますが、SLIMくんの姿勢情報などは地球へ正しく送られているので、おそらくは太陽光がパネルに当たっていないのだろうと考えられました。この場合は内蔵バッテリーのみなので、月面での稼働時間はたったの数時間。その後はバッテリーを切らざるを得なかったようです。

○月面探査機「SLIM」から月面データ取得完了 太陽電池が西を向いていることが判明 復旧の可能性も
  https://news.yahoo.co.jp/articles/91379b69444b3d48ad70e2938994e76ab8bcaf3a


はてさて、今回の月着陸プロジェクトは成功だったのか? 失敗だったのか?
着陸から1週間・・・どうやら80点以上の成功であったようです!!

まずは着陸したSLIMくんの写真がこちら。
NHKのWebサイトより。
(月面探査機 JAXA 世界初の「ピンポイント着陸」に成功と発表)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240125/k10014333951000.html

こちらは、SLIMくんの着陸前に分離した小型ロボットLEV-2が撮影したものです。画面真ん中の灰色の横線は、月から地球への画像伝送時のノイズです。SLIMくんが、無事に月に降り立ってます!

今回のミッションの目標は、大きく5つあったそうです。
○「転ぶ前に倒れ込め」世界初のピンポイント月着陸狙うSLIM、5つの常識破り
 https://www.mitsubishielectric.co.jp/me/dspace/column/c2308_2.html

  1. これが月着陸機?脚はどこ?(小さな機体で月着陸)
  2. 腹ばいで斜面に倒れ込む「二段階着陸方式」
  3. クレーターの地図と賢い頭脳で「ピンポイント着陸」
  4. 全開アクセルと急ブレーキの豪快運転
  5. 月着陸直前に放出される2つのロボット

これらのうち(後述しますが)2を除いて、4項目に成功したと言えます。これによって、小型の探査機でも月探査ができることが実証されました。今後、国産技術でのの月探査にはずみがつきますね!


ただし大きな問題もあります。今回は下記に示すような感じで月に降り立つ予定でした。
○高精度着陸と軽量探査機
 https://www.isas.jaxa.jp/home/slim/SLIM/technology/index.html

ドドッと倒れ込むように着地する予定だったのです。細長い足はなく、探査機本体に取り付けられた丸い「クッション」を使って、まず上記(3)のように「ドン」、次に上記(4)~(5)のように「ドドン」と降り立つ予定でした。ところが実際には、、、

https://twitter.com/ots_min/status/1748724445571940562

こんな風に「頭が下になる」格好で着地。勢い余ったか、バランスを崩した感じですね。
運悪く、着陸時の太陽の方向が、太陽電池パネルと反対向きだったので、発電ができなかったようです(いやまて、こんな格好でも月に降り立てたので、運は良い?)。

その原因は、着陸の少し前にメインエンジンが大きく壊れてしまったためのようです。メインエンジン(逆噴射しながら月面に降りるために必要)は2つありますが、その片方のノズルが月表面に落下していく様子がSLIMくんのカメラに収められてます。また実際に、メインエンジンが片方しか動かなかったことも、SLIMくん自身が地球に報告(送信)しています。

他の天体への着陸は困難なミッションなので、いろいろ起きると思います(例:はやぶさ)。今後、メインエンジンのトラブルの原因も解明が進むと思いますが、「なにがあっても、ちゃぁぁぁんと着陸」するメカニズムが必要です。その点では今回の「ドドッ」と着陸する2段階方式はリスクが高すぎたと言えますし、大失敗です。
やはり往年の、逆噴射をしながら長い4本足とか3本足で確実に着陸するか、エアバック方式が良いのでしょうね(パラシュートはダメ。月には空気はありません)


休憩:
月に着陸した探査機って、案外少ないんですね!! 成功率は40%とのこと。
(https://www.asahi.com/articles/ASS1L7F2ZS1JPLBJ002.html)
これ以外に月の裏側に「嫦娥4号」が着陸していますね。

https://twitter.com/dydt_Nao/status/1748397614285128159

最後に、今後の話。SLIMくんは残念ながらコケて着陸してしまったので、太陽電池パネルに日光があたっていません。ただ幸いなことにひっくり返ってはいないので、月が公転していけば、いずれ日があたります。実はもう当たり始めているようです(1/28現在)。
他方で、以下の記事によれば、大気のない月面上には強い太陽光や放射線が降り注いでいて、電子回路の活動の限度は数日間だそうです。

○ピンポイント着陸も成功確実なスリム なぜ60点なのか JAXA幹部が辛口採点
 https://www.sankei.com/article/20240120-7ADTERLD2NMSHERYQBT4DYSWOM/

うーーむ、もう動かないかもしれないし、動くかもしれない。
とはいえ、日本初の月面着陸には成功したということで、まずは喜びましょう!!
そしてこの3月に予定されている、H3ロケットの打ち上げなどがうまくいくことも期待しましょう!!

※追記:本日午後に、SLIMくんとの通信が回復したみたいですね!
 着陸で姿勢が崩れていますが、「月面調査をがんばるぞい!」ってかんじですね。

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能登半島地震について:(2) 逆断層

1月1日の能登半島地震が逆断層で起きたことは、発生直後には判明していました。
下記は、前回示した図です。

(防災科学技術研究所 AQUAシステム:16:27頃に確認)

よくみると、丸で示された変なマーク?がありますね。ビーチボール?
これは「震源メカニズム」とか「発震機構」と呼ばれるものです。

活断層が一気にズレ動くことで、地震がおきます。このときの揺れ(地震波)の記録のうち、一番最初に揺れ始めた部分に注目します。揺れ始めのときに、地面が押し上げられる場合と、地面が引き下げられる場合があります。前者を「押し」、後者を「引き」と呼んでいます。
押しの地域と、引きの地域は、デタラメに分布しているのではなくて、ある程度まとまっています。その分布の様子から、地震を引き起こした断層のタイプを決めることができます。
具体的には、各地震計での揺れ始め(初動)のパターンを、震源においた「仮想的な下半球」に投影します。「押し」の部分は黒色で、「引き」の部分は白色で塗り分けると。。。

●地震・津波の提供情報 コラム NO10.震源メカニズム(地震調査研究推進本部)
 https://www.jishin.go.jp/resource/column/2011_1102_03/

このように、白黒のビーチボールのような図を作ることができます。
これを上から見ると。。。

●発震機構解と断層面(気象庁)
 https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/mech/kaisetu/mechkaisetu2.html

防災科学技術研究所の震源メカニズムは、ほぼ逆断層型です。




断層には大きく分けて3つのタイプがあります。正断層、逆断層、横ずれ断層ですが、今回は「逆断層」がズレ動いて、M7.6の巨大地震を引き起こしたと考えられます。能登半島(陸側)が持ち上がって、高くなりました。その証拠に、以下のような写真が公開されています。

●第四報 2024年能登半島地震の緊急調査報告(海岸の隆起調査)
 https://www.gsj.jp/hazards/earthquake/noto2024/noto2024-04.html

ところで、この図をみて「この崖のような部分が活断層なのだ!」と勘違いする方がおられるようです。そうではなくて単に、港の岸壁を含む能登半島の広い地域が隆起したので、岸壁が高くなったのです。以下を御覧ください。


●令和6年能登半島地震の評価(令和6年1月15日, 地震調査研究推進本部)
 https://www.static.jishin.go.jp/resource/monthly/2024/20240101_noto_2.pdf

こちらは人工衛星を用いた地殻変動の解析結果です。干渉SAR(InSAR)という技術ですが、ここでは説明は省きます。このように能登半島に大きな隆起が生じたのは、逆断層がズレて、巨大地震が発生したためです。

それではどの活断層がズレ動いたのでしょうか?
次回に続きます。

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能登半島地震について:(1) そのとき


地震はいつ・どこで・どれくらいのものが起きるのか?
地震学者にだって、わからない。

この元日、1月1日に能登半島で大きな地震が起きた。

  • 1月1日16:06頃に、石川県能登地方でM(マグニチュード)5.7の地震が発生
    (これは前震)
  • 引き続き、16:10頃にM7.6の地震が発生(これが本震)
  • どちらの地震でも緊急地震速報が出された。
    16:15時点の予測値は、M7.4、深さ10km、最大震度7

その後の気象庁のMの発表が遅い。震源の深さもなかなか発表されない。
その間に、防災科学技術研究所のHi-netの速報値が出た。
※私自身のX(旧Twitter)のメモによれば、16:22頃に確認)
https://www.hinet.bosai.go.jp/

この時点ではM6.9とのこと。 M7前後の地震と思われた。
震源は能登半島先端。ここ3年ほど、群発地震(ある地域に集中的に多数発生するような地震群。本震がどれかもハッキリしない)が起きていて、私自身もここ2年間ほど調査に行っている。

同じページのAQUAシステムは、M7.5だと言ってきた。
※私自身のX(旧Twitter)のメモによれば、16:27頃に確認)
各システムで処理方法が違うとはいえ、デカイ地震だ。なるほど、私の自宅(京都)も揺れるわけだ。正直、うろたえてしまった(京都と能登は300km以上離れている、こんなに揺れるのか?)

気象庁の情報は最終的には以下のようであった。
※X(旧Twitter)のメモによれば、16:43頃に確認。気象庁HPによれば16:24に発表)
前震と本震、2つの地震の揺れが重なり気味であったため、震源の決定に時間がかかったのだろうか?(おそらく) 震源の深さも発表当初は「ごく浅い」だったが、地震発生からずいぶん立ってから深さ16kmとの発表があった(気象庁のプレスリリースをみると21:30頃)。

https://www.jma.go.jp/jma/press/2401/01a/kaisetsu202401011810.pdf

ちなみにMが0.2違うことには、大きな意味がある。
0.2大きくだけで、地震のエネルギーや2倍程度大きくなる。
(Mが1つ大きくなると約32倍)

そうこうするうちに、すぐに津波が観測され始める。輪島では地震発生の16:10からすぐに、潮位が急増。1.2mを超えて振り切れた(たぶん潮位計が津波に飲み込まれた)。富山では輪島と逆に、引き潮で津波が始まった。だからといって、「津波は引き潮から始まる」と考えてはいけない。

輪島の潮位
https://www.jma.go.jp/bosai/map.html#7/36.289/136.928/&contents=tidelevel

富山の潮位(上ページと同じ)

この段階では、能登半島各所には3mとか5mの津波がもう到達している。またNHKの映像を見る限り、地震発生時に珠洲市内で砂埃があがっていた。建物が倒壊したものと思われる。
その後のNHKでは、珠洲市内からの映像は流れなくなった。停電か、通信途絶か。
阪神・淡路大震災を思わせる(あのときも神戸支局は音信不通であった)。
この強さの地震では道路なども崩れて寸断されている。
余震でさらにがけ崩れなどもある。

大変なことになった。
、、、とここまでが、1月1日の地震発生から1時間くらいの話。その間のメモはX(旧Twitter)にたくさん書いた。読んでくれた人も多かったようだ。

では、地震のときに、いったい何が起きたのだろうか?
次回に続きます。

※注
今回はX(旧Twitter)に地震時に書いたことを、文章としてまとめて残しています。加筆あり。数回に分けて記事にします。ちなみに、今回の地震があったので、2022年夏から休眠していたブログ「海の研究者」をリブートする決断をしました。

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復活!

2005年から2022年まで続けておりましたブログ「海の研究者」。
装いも新たに、こちらの新サイトにて再開することに致しました。

旧サイトはこちら。
https://goto33.blog.ss-blog.jp/
しばらく置いておきます。そのうち、このサイトに引っ越しさせる予定。
(でもメンドウだからそのままにしておくかも)

旧サイトに書いてあった、ブログの説明を下の方に書いておきますね。

以前と同様に、地球や宇宙のお話、野外調査や調査航海の実況、
研究生活のアレコレをアップしていきます。
どうぞよろしくお願いいたします。  

姫路駅の近くにあった、門松。
お店用ではなくて休憩スペースにあるのは珍しくない??

幸せを運ぶという(?)黄色の新幹線。
ドクターイエロー@博多駅にて(去年の11月)

【当ブログについて】
こんにちは!
私は海洋調査船にのって海底の調査観測を行い、時には大学で教壇にも立つ
イチ研究者です。海での調査や研究活動の様子を一般の方々にもわかりやすく
紹介するために、2005年秋にこのブログを開設しました。

私自身の研究内容の詳細は本業のホームページで紹介するとして(https://obem.jpn.org/)
ここでは研究結果が出るまでの過程(苦悩や喜び、悲しみ)を綴りたいと思います。また研究に伴ういろんな思いやアイデアなども書いてみます。海の調査や研究の”現場の雰囲気”が伝わればとおもいます。

調査船からの実況も時々いたします。また科学ニュースや連載記事ものせていきたいと考えています。2~3日に1回のペースで更新を続けたいとおもっております。ご愛読いただければ幸いです。コメントやSNSでのご紹介など、お気軽にどうぞ。

<記事について>
・当ブログの記事はカテゴリー毎に分類されています。
 詳細はこちらをご覧下さい。
・調査船や外出先からブログを更新している場合、読みやすいように、
 公開後に記事内容を若干修正することがあります。予めご了承下さい。
・地球や海などに関する本・DVDを「Amazon」から紹介する場合があります。
 必ずしも、私が読んだ本ではありません。ご了承ください。
・当ブログへのリンクは自由です。ご連絡の必要もありません。
 

<コメントについて>
・コメントは自由です。ただ当ブログの内容とあまりにも関連がないものや
 長すぎるコメント、度の過ぎた繰り返しのコメント、連続投稿等に
 関しましては当方にて削除させて頂きます。ご了承下さい。
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・調査船や外出先からブログを更新している場合、コメントへの返答は
 できません。後日お返事いたしますので、しばらくお待ち下さい。

<その他>
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