1月1日の能登半島地震が逆断層で起きたことは、発生直後には判明していました。
下記は、前回示した図です。
(防災科学技術研究所 AQUAシステム:16:27頃に確認)
よくみると、丸で示された変なマーク?がありますね。ビーチボール?
これは「震源メカニズム」とか「発震機構」と呼ばれるものです。
活断層が一気にズレ動くことで、地震がおきます。このときの揺れ(地震波)の記録のうち、一番最初に揺れ始めた部分に注目します。揺れ始めのときに、地面が押し上げられる場合と、地面が引き下げられる場合があります。前者を「押し」、後者を「引き」と呼んでいます。
押しの地域と、引きの地域は、デタラメに分布しているのではなくて、ある程度まとまっています。その分布の様子から、地震を引き起こした断層のタイプを決めることができます。
具体的には、各地震計での揺れ始め(初動)のパターンを、震源においた「仮想的な下半球」に投影します。「押し」の部分は黒色で、「引き」の部分は白色で塗り分けると。。。
●地震・津波の提供情報 コラム NO10.震源メカニズム(地震調査研究推進本部)
https://www.jishin.go.jp/resource/column/2011_1102_03/
このように、白黒のビーチボールのような図を作ることができます。
これを上から見ると。。。
●発震機構解と断層面(気象庁)
https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/mech/kaisetu/mechkaisetu2.html
防災科学技術研究所の震源メカニズムは、ほぼ逆断層型です。
断層には大きく分けて3つのタイプがあります。正断層、逆断層、横ずれ断層ですが、今回は「逆断層」がズレ動いて、M7.6の巨大地震を引き起こしたと考えられます。能登半島(陸側)が持ち上がって、高くなりました。その証拠に、以下のような写真が公開されています。
●第四報 2024年能登半島地震の緊急調査報告(海岸の隆起調査)
https://www.gsj.jp/hazards/earthquake/noto2024/noto2024-04.html
ところで、この図をみて「この崖のような部分が活断層なのだ!」と勘違いする方がおられるようです。そうではなくて単に、港の岸壁を含む能登半島の広い地域が隆起したので、岸壁が高くなったのです。以下を御覧ください。
●令和6年能登半島地震の評価(令和6年1月15日, 地震調査研究推進本部)
https://www.static.jishin.go.jp/resource/monthly/2024/20240101_noto_2.pdf
こちらは人工衛星を用いた地殻変動の解析結果です。干渉SAR(InSAR)という技術ですが、ここでは説明は省きます。このように能登半島に大きな隆起が生じたのは、逆断層がズレて、巨大地震が発生したためです。
それではどの活断層がズレ動いたのでしょうか?
次回に続きます。